今日も仕事を終えて、新幹線までの時間を愉しもうとふらり。
梅田の地下街には、間違いなく故郷にあるあらゆる商店を足した数より多くの店が並んでいるのに、足が向くのはここだけなんだな。別に特長があるわけではないのに。
鳥の巣。
コの字のカウンターは、時間が早いせいで数える程しか客はいない。二月にいた大連出身の女性の顔も覚えていない。目の前には福建省出のふっくらしたお嬢が立つ。豚カツと烏賊とキスの串揚げを一本づつ。それと生中。
キャベツをタレに浸して頬張りはじめると、一つ空けた席の年配が福建省お嬢をたどたどしい中国語で食事に誘い始めた。離れたところから先輩のドッカの省出身者がチャチャを入れてくる。お嬢がすかさず、「ツパラ(お腹いっぱいなんです)」
コの字の角の向こうでは、サングラスの男とポニーテールの男が雇用拡大政策を論じている。反対側の二つ離れた席では、痩せこけた老人が一つづつ薬を口に運んでいる。アサヒの大瓶は半分を過ぎたところから減る気配がない。それを認めた日本人の年配ウエイトレスが言葉を掛ける。
私だけが無言でキスの串揚げを頬張っている。何故だか至福の時。ホント、何故なんだろう。ナンパオヤジは、「時間が」と言い残して立ち去った。政策論議は未だ続いている。クスリの老人は「帰る」と告げた後も水を舐めなめ居座っている。
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